音で知る

約2年前。
もしこの先、自分が沢山曲を作って、その中の曲をオーケストラにしたいと思うような時が万が一あれば、絶対この人にお願いしたい。
と思っていた。
2年前というと、自分で曲を作り始めた当初で、クオリティは別として、取り敢えず自分1人で最後まで完成させた曲など片手で足りる程だった。
そしてオーケストラアレンジの勉強?そんなの思い付きもしなかった。そういうレベル。

そして時は過ぎ、
今回、来年春計画している、あるイベント用の音楽を作る事になった。
「メインテーマ的な曲を作ってみるか」
と思い立ち、ピアノ曲として作っているうちに、
「これは…オーケストラアレンジが欲しい」
という欲が湧いてきた。

2年前に心に決めたその人の事は、その人の作る「音」しか知らなかった。
ネットのサイトに上がっている楽曲が全て。
男かも、女かも、分からなかった。
逆に、私には音だけで十分だった。

なので、思い切って連絡を取り、オーケストラアレンジを依頼した。
快く受けて下さった。
メールでの言葉のやり取りの中で、非常に知的で品のある方だと再認識した。

事前に送らせて頂いていた、私の探り探り弾いたピアノ音源だけでは、アレンジの材料として不足しているので、
四苦八苦しつつ、しかし楽みつつ、オーケストラアレンジ用の楽譜を作り、デモ音源と共にその方に送った。
幾つかの要点を文章にして、その中の楽器編成などのリクエストについて、
「ここの部分は、オーボエ的な音色のイメージです」
とお伝えした。

夜にお返事が来た。
「私もこのシーンにてオーボエを思い浮かべておりました。
蒼政さんとイメージがだいぶ近いようですね。」

私は、音楽の喜びを、また一つ得たのである。

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