しずくしずか

葉を伝う雫は何て美しいのだろう。
静謐で神聖な空気に満ちている様に思う。
雫達は、人間には聞こえない程の静かな声で、丸い躰を揺らしつつ話をしているに違いない。
そして静かに溢れ落ちて行く。

「里芋の葉っぱの上の朝露を集めて、小瓶に入れる。その小瓶を持っていると、妖精が見えるようになる」
何処で聞いたのか、小学生の頃そんな話を信じて、
日の昇る前の里芋畑へ出向いて、朝露を小瓶に集めた。
妖精は、子供の私には見えていたのだと思う。今は大人になって、その記憶を忘れているだけ。

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